ワークショップ
VHO-netでは年に一度、「ヘルスケア関連団体ワークショップ」を開催しています。ワークショップは、ヘルスケア関連団体のリーダーが集まり、課題を共に考える場です。受身ではなく全員参加型の会であり、グループワークを主軸として、毎回テーマを決めて話し合います。ヘルスケア関連団体のリーダーと医師などをはじめとする医療関係者が、同じ目線で共通する悩みや問題を話し合い、互いに解決策を考えたり、体験や情報の共有と人と人とのつながりを通して、エンパワメントできる場を目指しています。
第1回(2001年) | 「活動に駆り立てるもの・越えるもの」〜出会いを中心に〜 |
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第2回(2002年) | 「ひとりの気づきは みんなの気づき」〜会の運営・後継者育成、資金調達、PR活動など〜 |
第3回(2003年) | 「自分づくり、ひとづくり」〜人材育成を中心に〜 |
第4回(2004年) | 「未来に向けて、充実と広がり」〜今、あなたにできること〜 |
第5回(2005年) | 「つなぐ」〜医療関係者とのより良い関係〜 |
第6回(2006年) | 「患者力」〜医師とのパートナーシップ〜 |
第7回(2007年) | 「情報活用術」〜収集と提供の方法を考える〜 |
第8回(2008年) | 「つたえる」〜正確な情報を伝えたい人たちに〜 |
第9回(2009年) | 「つづける」 〜chance・challenge・change〜 |
第10回(2010年) | 「集う・たのしむ・見つける 」~これまでを振り返り、未来のために~ |
第11回(2011年) | 「もったいない! VHO-netの活かし方」 |
第12回(2012年) | 「『共に』~ピアサポートの未来」 |
第13回(2013年) | 「社会資源としてのピアサポート」 |
第14回(2014年) | 「協働」 |
第15回(2015年) | 「軌跡・継続・変革」 |
第16回(2016年) | 「わたしの目指すリーダーとは」 |
第17回(2017年) | 「わたしたちの団体の価値に気づき、価値を高める」 |
第18回(2018年) | 「目標を達成するための新たな資金調達」 |
第19回(2019年) | 「実践から学び活用できる資金調達」 |
第20回(2020年) | 「VHO-netが取り組むSDGs」~未来に向けて~ |
第21回(2021年) | 「VHO-netが取り組む3つのSDGs」~ピアサポート・防災・倫理~ |
第22回(2022年) | 「VHO-net新たなるチャレンジ」~私たちの声を社会に~ |
第23回(2023年) | 「ピアサポートの質の向上・企業との協働について」 |
日頃、課題を持つことが多い各団体のリーダーが、楽しく、そして癒されることが大切と考え実施いたしました。活動内容に違いがある団体のリーダーが「個」に戻り、グループワークによって悩みを共有することで、孤立しやすいリーダーが横のつながりを持つ第一歩となりました。また、グループごとに名前を決めた際、その一つのグループ名であった「まねきねこ」を、このワークショップのキャラクターといたしました。
分科会では、「役員のチームワーク」、「後継者育成」、「活動資金の確保と運用」、「会報・ホームページを含んだ団体のPR活動」など、実際の活動に役立てていけるような7つのテーマに分かれて分科会と全体討議を実施し、課題を共有し解決への糸口を見つけることや、今後お互いに考えていくことを確認し合いました。
各団体のリーダーの方々が、どのように取り組んでいるかを話し合い、成功例や問題点を共有しました。単に人材育成に関わる問題だけではなく、会の運営や会の存続、ネットワークづくりに話が広がり、さまざまな視点から、現在の課題や将来の夢などについて、グループ発表されました。
「これからのNPOの運営」、「ヘルスケア関連団体による医学教育へのかかわり」という2つの課題に沿って開催されました。特に、医学教育については参加者の関心も高く、これを機に地域学習会でも積極的に勉強会が開催され、現在もその活動が続いています。
テーマは、「つなぐ」〜医療関係者とのより良い関係〜。
聖マリアンナ医科大学 箕輪良行教授から地域医療の重要性、医者・患者の関係などについて講演をいただいた後、分科会を行いました。グループ発表では「医療者と患者の対等性」が不可欠であり、そのためには、ヘルスケア関連団体の向上と社会的背景の醸成が必要であることがあげられました。また、「双方のコミュニケーション不足」が原因となっていることもあり、その問題をどのように解決していけばよいのかが、今後の課題となりました。
初めて医師の方々に分科会にも参加いただき、団体の方々と共に積極的な議論を交わしました。
具体的なコミュニケーションツールとして、例えば、疾患別に、医師と患者の共通言語の本などを作成すべきとの意見が出されました。
第6回のグループ発表を受けて、「患者力」をつけるためには、特に『情報の収集、発信、共有』の重要性が認識され、第6回で議論された内容をさらに具体的にしていくために、第7回のテーマを「情報活用術」~収集と提供の方法を考える~としました。インターネットを中心に、いろいろな情報があふれていますが、その情報をどのように収集すべきか、またその情報は本当に正しい情報で、各団体でも活用できるものかなど、議論を深めました。
本当に伝えたい情報を、伝えたい人に、正しく伝えることができているか、ということを共に考えました。情報の発信には情報の収集力も大事であり、それはさまざまな人との協働や信頼関係も大きく関係するといった発表もありました。
各団体のこれまでの活動において、さまざまな場面で「変化を求められたこと」、「良い機会にめぐまれたこと」、「新しいことに挑戦」したとき、リーダーは、仕事を抱え込まない、個人が頑張りすぎない、楽しさが必要との意見がありました。また、結果よりもプロセスが大事であり、仲間と分かち合いながら、また後継者を育てて、「つなげていく」事が重要であると発表がされました。
第10回目を迎えたワークショップの節目として、これまでヘルスケア関連団体のそれぞれの活動において、さまざまな場面に直面したとき、どのように対処し、改善してきたのかをもう一度振り返り、その経験を未来に繋げていくための話をしました。このワークショップの第1回目は、まずはそれぞれの団体が「集う」ことから始まり、お互いを知ることからスタートし、会を重ねるごとに「たのしむ」ことを大切にしてきました。また、みんなに会える喜びがあるからこそ、継続でき、そして、お互いの信頼感が醸成でき、新しいことを「見つける」ことができると実感したワークショップでした。
過去10年間は、団体のリーダーがつながり、互いの知恵を交換することに力を注いで来ました。そこで得られたことは確実に、各地域学習会で活かされていき、 今後は、より良い医療や生活に向けて、『VHO-net』全体として行動していくことを考えたいと思い、このテーマで話し合いをしました。今後10年をかけて長期的な展望を持って取り組んでいきたいことをグループにわかれて話し合い、それぞれのグループから、さまざまな提案がなされました。
分科会では、それぞれのヘルスケア関連団体で自分たちがピアサポートとして活動していることをあげ、活動の内容ごとに分類化を行いました。団体によってユニークで様々な活動が報告され、相談・交流会・会報だけに限らず、何気ない活動もピアサポートに結びついていることを確認する機会となりました。
前年のテーマをさらに発展的にとらえ、どのような仕組み・工夫があれば『ピアサポート』は社会資源となり得るのかについて話し合いを行いました。分科会では、代表的なピアサポートである「相談」「交流会」「会報誌」の3つの題材を中心に、社会資源となるための具体的な活動とは何かについて掘り下げる作業を行いました。
今まさに協働しようと思っていること、自身の会だけでは解決できずに行き詰っていること、過去の協働による成功体験など、協働に関係する様々な可能性について議論を行いました。基調講演では3名の方の事例を聞き、分科会では医療・就労支援・地域・災害対策に分かれて、より深く活発な議論が展開されました。
第15回目の節目として、第1回ワークショップ開催時のVHO-net世話人であった長谷川三枝子さんとワット隆子さんに、長年の患者団体活動の『軌跡・継続・変革』の手法をご講演いただきました。分科会では、社会情勢の変化に対応し、それぞれの団体が抱える問題について解決のヒントを全員で話し合い、自身の活動を振り返り、これからの展開を考える機会となりました。
「ヘルスケア関連団体に求められるリーダー像とは何か」を自ら考える機会とし、3名の方に異なる立場からのリーダー論を語っていただきました。分科会では、リーダーとして大切にしていること、リーダーとして思い描く将来のビジョン、そのために今何をすべきかなど、を話し合い、多様なリーダーを知ることで、今後の活動のヒントにつなげました。
ヘルスケア関連団体の社会的価値に目を向けたテーマを設定し、社会がヘルスケア関連団体に求めていることを知ることで自分たちの活動について見つめ直し、価値を高めるには何が必要か、主体的にどのようなことができるかを考える機会としました。基調講演として、認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)の山口育子さんに患者支援団体の活動を通して患者力を高める活動についてご講演いただき、たくさんの刺激を受けると同時に新たな気づきにもつながりました。
団体の目的を達成するために資金調達(ファンドレイジング)によって財政基盤を強化し、1型糖尿病治療のための研究に対する助成などを積極的に行っている認定NPO法人 日本IDDMネットワークで副理事長兼事務局長を務めている岩永幸三さんと、アメリカのArthritis FoundationやMadison4kidsにおいて、30年以上にわたり資金調達担当役員としてご活躍されているタズコ・ファーガソンさんから基調講演をいただき、資金調達で悩んでいる団体が自分たちの活動について見つめ直し、新たな第一歩を踏み出すための具体的な活動を考える良い機会となりました。
第18回に引き続き、「資金調達」をテーマに開催しました。福岡看護大学健康支援看護部門成人看護学分野 教授の岩本利恵さんとファイザー株式会社の喜島智香子さんから、「なぜヘルスケア関連団体にとって資金調達が必要なのか。」「企業からの視点」の講演があり、その後、資金調達を実践した認定NPO法人 アンビシャス 照喜名通さんと認定NPO法人 佐賀県難病支援ネットワークの三原睦子さんから、資金調達までのプロセスの具体的な内容、課題や苦労したことを講演をいただきました。分科会では3つの事例を用いて、ある団体の理事の一人の立場で資金調達を会としてどう考えていくのかを真剣に議論しました。
第20回を記念して、2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)から、ヘルスケア関連団体が幅広く社会において持続可能で多様性と包摂性のある社会実現のため、2030年をターゲットに7つの目標を設定しました。ワークショップでは、この20年間を振り返ると共に、未来に向けた活動をさらに充実させるため、7つの目標達成に向けて課題や解決するためにできることを議論をしました。
第20回に引き続き、SDGs(持続可能な開発目標)の項目から、2030年をターゲットにした7つの目標を設定し、今年はその項目の中から3つを選択し、議論しました。
1つ目の「ピアサポート」については、今までのことを継続するだけでなく、医療をはじめとする専門職から信頼を得られるために、どのような学びや検証が必要なのか、何が課題なのかを議論しました。
2つ目の「防災」については、過去においては個人レベルにとどまっていたことも、今後はVHO-netとして本格的に取り込むことを議論しました。
3つ目の「倫理」については、VHO-netの活動において一定のガイドライン、ヘルスケア関連団体の「利益相反」(COI)、今後、VHO-netにおいて透明性や公平性を担保する活動について議論しました。
今年は一般社団法人 ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会として、初めてのワークショップ開催となりました。益々社会に向けての発信力も強まり、独立した団体として広く関係団体との協働や情報交換をしていきたいと考え、3つのポイントに分けて議論しました。
1つ目の「患者の声を医療に活かす」では、患者力をつけ、また意思決定するためにはどういうことが必要かを議論しました。
2つ目の「患者の声を社会に活かす」では、ヘルスケア関連団体のリーダーとして、当事者の思いや体験・課題をどう整理して、社会へどのように発信していけるかを議論しました。
3つ目の「より良いパートナーシップを育む」では、協働する団体等とどのように信頼関係を構築していくのか、また双方にとってプラスになる関係を構築するために何が必要かを議論しました。
今年は一般社団法人となり2回目の開催となりました。今後ますます社会に向けての発信力も重要になります。今回のワークショップでは各ヘルスケア関連団体の活動の「伝える力」を磨くために、注目をあびている学会ポスターセッションのスタイルを採用し、これまでにないワークショップを開催しました。
1つ目の「ピアサポートの質の向上について」は、『ピアサポート5か条』(2015年VHO-net発行)の5か条を参考にして、ピアサポートの質を向上させるために何をすべきかを考えました。これまでの経験だけでなく、さまざまな情報を調べ、学習・研究し、それをグループごとで話し合いました。
2つ目の「企業との協働について」は、ヘルスケア関連団体に依頼する内容が始めから決まっている協働ではなく、企画段階から企業と共に社会課題について考える協働もこれからは必要かもしれないと思い、身近な協働から最先端の国内外の事例などについて考えました。