<活動レポート>

「病気になってもできることを探し、可能性を広げる」交流学習会で果敢な生き方を学ぶ
VHO-net 第3回交流学習会

2018年1月20日、東京のファイザー株式会社アポロラーニングセンターにおいて、VHO-net(ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会)第3回交流学 習会が開催されました。これは、地域を越えて交流する機会を増やし、それぞれの疾病や障がいの枠を越えたテーマの講演や議論を通して多くの気づきを得 ることを目的としたものです。今回は、がん患者の就労支援や政策提言に積極的に取り組む桜井なおみさんを招いて基調講演やグループ討議が行われました。

社会にも積極的に働きかける活動を学ぶ

桜井なおみさん(一般社団法人CSRプロジェクト代表理事社会福祉士・精神保健福祉士)は、がん患者支援団体や患者の視点を活かした株式会社を立ち上げ、また、患者代表としてがん対策推進協議会などにも参加し積極的に政策提言を行っています。基調講演では「病気になって見つけたこと」と題して、患者としての経験や、活動の原点について、ユーモアを交えながら熱く語り、全国から集った参加者も熱心に聞き入っていました。

講演を受けてのグループ討議では、次のような感想や自らの活動に活かす気づきが紹介されました。「発想力、アイデア、実行力がすごい」「患者株式会社を立ち上げるなんて素晴らしい」「数字や根拠を把握して発信することが重要と改めて認識した」「楽しそうと思われるように、自分たち自身が活動を楽しみたい」「医療や福祉制度をつくる過程には当事者が入るべきであり、当事者も参画する努力が必要」「多くの人とつながると活動が広がることを、学びとして持ち帰りたい」

「病気に支配されない人生」に多くの人が共感

講評で桜井さんは、「ビジネスや政策提言には数字(根拠)でモノを言うことは重要だが、ストーリーを語ることも大切。情に訴えることができるのは患者の強みだと思う。病気はコントロールできなくても、自分の人生はコントロールできるので、病気に支配されないように生きたい」と述べました。

また政策提言などを行う際、難病の患者団体から「患者数の多いがんから道を切り拓いてほしいと励まされたことが心強かった」と疾病の垣根を越えた連携の重要性も強調しました。〝病気に支配されず、人生は自分で選択したい〞という桜井さんの言葉に多くの参加者が共感し、なごやかな雰囲気の中で交流学習会は終わりました。

「病気になって見つけたこと」桜井さんの講演より

病気は人生のターニングポイントだった。患者になって初めて気づいたことも多く、社会や海外にも興味が向くようになり、人生の意味探しを始めた。

「キャンサー・サバイバーシップ」という新しいがん生存の概念に共感し、患者としてできることに取り組もうと歩き始め、医療関係の資格も取得した。がん患者へのソーシャルサポートの必要性を感じ、がん患者の就労を考える団体を立ち上げ、がん患者の就労に関する調査の実施や提言書のとりまとめ、書籍を作成し、社会に発信してきた。単に働ければいいのではなく、人生に満足するところまでを考えるのがヘルスケア関連団体の就労支援と考える。

また医療や行政に患者の視点が必要と感じて〝患者株式会社〞(キャンサー・ソリューションズ株式会社)を立ち上げた。学会の企画・運営や、調査研究のコンサルティング、商品開発などを行い、社員はがん患者を中心に、家族を失い働かざるを得なくなった人もおり、体調や家庭の事情に合わせながらワークシェアしている。海外でもアドボケート※やロビイング(ロビー活動:政治家などへの働きかけ)を学び、国内外でいろいろな人と知り合い、つながりながら進んできた。

今考えると、子どもの頃「疑問に思ったら、自分の目で視て、心で感じて変えていきなさい」と母に言われたのが私の原点。自分の目で視る。自分の心で感じる。変えたいと思ったら変える。「仕方がないというあきらめの言葉を無くしたい」̶これが私のアドボケートの原点だと思っている。

※アドボケート
権利表明が困難な子どもや障がい者など、本来個々人がもつ権利をさまざまな理由で行使できない人に代わり、その権利を代弁・擁護し、権利実現を支援する機能をアドボカシー、代弁・擁護者をアドボケートと呼ぶ。