<トピックス>

第16回ヘルスケア関連団体ワークショップ
「わたしの目指すリーダーとは」をテーマに、未来に向けて一人ひとりが目指すリーダー像について話し合う

2016年10月15・16日に、ヘルスケア関連団体のリーダーの集まりであるVHO-netによる「第16回ヘルスケア関連団体ワークショップ」が開催されました。今回は、「わたしの目指すリーダーとは」をテーマに、参加者それぞれが自分自身のリーダーとしてのあり方を振り返り、自分や自分の団体が目指すものはなにか、そのためになにをなすべきかを考える取り組みを行いました。ここでは、多様なリーダー像を知るために行われた基調講演とパネルディスカッションをご紹介します。

分科会&グループ発表

基調講演:「ヘルスケア関連団体のリーダーとは」

岩本 利恵 さん
活水女子大学看護学部 准教授

九州学習会の地域世話人、運営委員でもある立場から、これまで出会ってきたヘルスケア関連団体のリーダーたちを分析し、リーダーシップについて考察した結果を発表。

今まで出会ってきたリーダーの特徴を次のように分析してみました。

●100人のリーダーがいれば、100通りのリーダーシップがある
●理念や目標、目的が明確
●社会的なニーズや個人のニーズを理解できる
●志が高く、世の中のため活動し、成し遂げる力が高い
●伝え方が上手。言葉だけでなく自らが行動することで伝えている
●人を引き寄せる魅力がある。ポジティブ思考で、情熱がある
●コミュニケーション能力のひとつである笑顔が素敵
●共有することができる。人を頼ることができ、悲しみや苦しみ、喜びを分かち合える
●愛情深く、自分も人も愛することができる
●少しだけいいかげんなところがあるので、まわりも楽

社会が多様化・複雑化している中で、リーダーの役割は変化してきています。
VHO-netで出会ってきたリーダーはそれぞれ素敵な素質をもっていて、人材の宝庫であると感じ、私自身もここまでともに活動してくることができました。自分の強みを活かせる役割を担うことで成長できるのではないか、また、少しずつ経験していくことでリーダーシップの向上につながっていくのではないかと思います。

基調講演:「私にとってのリーダーとは」

照喜名 通 さん
認定NPO法人 アンビシャス 副理事長

ヘルスケア関連団体の活動が遅れていた沖縄で、既存の枠にとらわれないリーダーとして、新しい組織づくりや活動にチャレンジしてきた経緯を発表。

沖縄にはヘルスケア関連団体が少なく、活動も低調であったため、難病センターのような組織をつくりたいと、2002年にNPO法人 アンビシャスを設立しました。私自身に経営の経験がなかったので、理事には経営に詳しい人をはじめ、多職種の人に加わってもらいました。また活動を広げすぎると成果を達成できないと考え、対象を国の定める難病に絞りました。立ち上げ当初に認定NPO法人の認定取得を宣言するなど、目標を明確にしてメンバーで共有してきました。団体の立ち上げ期、上昇期、停滞期にはそれぞれに対応する戦略と変化が必要であり、既存の手法を転換していかないと成長はないと考えています。

リーダーとして心がけてきたのは、まず私が行動して見本となること、チャンスを逃さず、すぐに行動に移すこと。成功したこともありましたが、私が多忙になりすぎコミュニケーションが不足したり、体調を崩し入院している間に組織運営が悪化したりしたこともありました。そうした場合や、時代や環境の変化を感じた時は、速やかに進路を変更してきました。トラブルは大なり小なり起きるものとして過ちの起きにくい仕組みも考えること、いざトラブルに直面した時は速やかに対応すること、そして将来の価値をつくることもリーダーの責任だと考えています。

そして「全体をみること」「感謝を忘れないこと」「真摯であること」を心がけ、リーダーとして精いっぱい、一生懸命活動したいというのが基本的な考え方です。「ま、いいか」と妥協すると失敗することが多いので、できることは精いっぱい頑張り、その後は天に任せて「なんくるないさー」と前向きに受け止めることが大切ではないかと思います。

基調講演:「わたしの目指すリーダーとは?」大きな団体の代表を引き継いで・・

森 幸子 さん
一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会 代表理事
一般社団法人 全国膠原病友の会 代表理事

長年続いてきた地域の活動や、強いリーダーが率いてきた組織を引き継ぎ、時代や環境が変化する中で調整役として活動してきた経緯や思いを発表。

私は妊娠中に膠原病と診断されました。

医師の尽力や家族の協力があり、出産することができましたが、ほかの患者さんは母子ともに亡くなったことを知り、「生かされた」また「なにかしなくてはいけない」と感じ、まず全国膠原病友の会 滋賀県支部で活動を始めました。膠原病にはいろいろな種類があり、特定疾患に指定されて医療費助成がある人もそうでない人も不思議と仲良く活動しているのが特徴の団体でした。滋賀県では、さまざまな患者団体の活動が広がり始め、滋賀県難病連絡協議会が発足。2001年に難病連では全国初のNPO法人格を取得しました。その後、難病相談・支援センターの運営を受託する時期に理事長を引き受けました。さらに友の会本部、全難連(全国難病団体連絡協議会)の運営に携わり、JPA(一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会)に疾病団体、地域難病連の両方の立場を兼ねて参加し、新たな難病法の成立にも深くかかわってきました。現在は、滋賀県難病連絡協議会理事、全国膠原病友の会代表理事、JPA代表理事を務めています。

私は強いリーダーシップを求められるというより、時代や環境の変化がある時や組織が変わらなければならないという時に、調整役としての役割を期待され、活動を引き継いできたリーダーです。そして、いつも素晴らしい協力者がいてくれるという不思議で幸せな巡り合わせがあり、目的を共有しながら、ひとりで抱え込まないことを心がけてきました。

支部では当事者の声を聞き、地域難病連では行政とともに具体的な難病対策を考え、友の会本部では学会や研究にかかわり、JPAでは厚生労働省や国会へ働きかけるなど、それぞれの役割を重視して活動しています。当事者であることを基本とし、時代の雰囲気、その場の空気、そして先達の思いや歴史を大切にしながら、半歩先を見て進みたいと思っています。状況によっては強くリードする部分、協調性を求めてみなで悩む部分をバランスよく取り入れて柔軟に運営していきたいと考えています。そして、信頼できる団体であり続けるために、だれがリーダーになっても揺るがない組織となるよう仕組みを模索しているところです。

パネルディスカッション:お二人の講演を受けての質疑応答が行われました

リーダーや後継者の選び方、育て方、そして異なるメンバーが集まって建設的に議論し、活動していく秘訣について話し合われました。

岩本さん
選ぶとしたら、人間として魅力がある人、笑顔・活気がある人、輝いている人、一緒に活動できると思える人でしょうか。対立を避け円満に済ませてしまうのではなく、その中から生まれるものもあるので、対立した方が良いこともある。
理念を変えるぐらいの対立ならば、新たな組織に向かうことも考えるべきではないかと思います。

照喜名さん
スタッフには資質がある人、仕事を担保できる人を選んできました。後継者については、私とは違うタイプの人を探しているところです。単なる多数決で決めることは少なく、異なる意見を出し合い、最終的には責任をとれる人の意見が落としどころとなることが多い。患者の夢や希望を大切にしたいと考えていたが、もう少し身近に、安心を重視していきたい。状況に合わせながら方向転換して、新しい価値を生み出したいと考えています。

森さん
本部や難病連などでは、支部や各団体から選出された人が役員や理事になるので、その人の特性に合わせて役割分担しています。その一方で、バランスや運営を考えて、こちらから提案できる枠も設けるなどしています。
友の会では、意見が異なる時はいちばん苦しい人の意見を尊重して進めてきました。本部や難病連では異なる意見をよく聞き、その背景やプロセスを考えることを大切に、JPAでは今なにがいちばん大切かということを重視しています。どの団体でも大切なのは目的を見失わないこと、リーダーが変わっても活動が継続できる組織づくりだと考えています。

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