<トピックス>

全国患者・家族集会2017ー誰もが安心して医療が受けられる社会を目指してー
難病、慢性疾患、がんの患者や家族が 全国から集まり、集会アピールを発信

2017年11月25日、東京のヒューリックホールにおいて「全国患者・家族集会2017-誰もが安心して医療が受けられる社会を目指して-」が開催されました。主催は全国患者・家族集会実行委員会、一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会(以下、JPA) で、難病やがん、長期慢性疾患の患者や家族、支援者などが参加し、特別講演、患者・家族の声の発表、集会アピールの提案とその採択などが行われました。

難病・慢性疾患全国フォーラムを引き継いで始まった「全国患者・家族集会」

新しい難病対策と長期慢性疾患対策の確立を目指して、JPA、日本リウマチ友の会、難病のこども支援全国ネットワークの呼びかけによって2010年から毎年「難病・慢性疾患全国フォーラム」が開催されてきました。2014年に難病法が成立し、児童福祉法による小児慢性特定疾病対策が改正され、障害者総合支援法が成立して難病患者も障害福祉サービスの対象となるなど、フォーラムの目的が果たされたことを受け、その理念を引き継いで16年度より開催されているのが「全国患者・家族集会」です。今回は、患者・家族団体、地域患者団体連合組織、支援団体など計116団体が集い、難病や慢性疾患の患者だけでなく、誰もが安心して医療が受けられる社会を目指そうという思いを共有しました。

堤未果氏による特別講演 「報道されないアメリカ医療の真実と守るべき日本の宝」

堤未果氏

第1部では、国際ジャーナリストの堤未果さんが特別講演を行いました。

堤さんは、アメリカの医療の現状を紹介し、保険制度が社会保障ではなくビジネスになっていると指摘。外国企業が日本への参入を進めようとする中で、それを拒むのは国民皆保険制度と、当事者の声により国民が現実を知ること、憲法25条(生存権)、そして市民の連携であると述べ、「当事者の声が重要」と強調しました。

また来賓挨拶では、各党国会議員のほか、厚生労働省健康局難病対策課長の川野宇宏さんも登壇。会場では、NPO法人 ASridによる、患者団体調査やレアディジーズデイ(世界希少・難治性疾患の日)などに関するロビー展示が行われました。

患者・家族の声に続き集会アピールの提案と採択

第2部では、「患者・家族の声」の発表が行われ、続いて、森幸子さん(JPA)が集会アピールを提案、その採択を行いました。

最後に、閉会挨拶として長谷川三枝子さん(公益社団法人 日本リウマチ友の会)が「どこに住んでいても、誰もが必要な医療が受けられるように、また障がいや病気があっても自立と参加が可能な社会環境をつくるために、明日から進んでいきましょう」と締めくくりました。

全国患者・家族集会2017 アピール(一部抜粋)

「私たちはすべての難病患者、長期慢性疾患患者、がん患者、障がい者、高齢者が差別・区別されることがなく、平等・公正に医療を受けることができる社会となることを求めています。

私たちは、病気を理由とするすべての差別や偏見がこの社会からなくなり、すべての難病患者、長期慢性疾患、がん患者、障がい者、高齢者などの患者と家族の困難と生きづらさが解消され、人としての尊厳が守られ、地域でともに生きてゆく生活をしている者の一人として、未来への希望をもつことができる社会が一日も早くに実現することを心から願っています」

伊藤たてお実行委員会委員長の開会挨拶より「皆さんに知っておいてほしいこと」
伊藤たてお実行委員会委員長

私たちの患者会活動と、難病法の成立や難病対策などに関連する我が国の疾病対策はアジア諸国で注目され、多くの患者・家族への励ましとなっています。

難病法施行後、重症度基準による軽症者が医療費助成の対象外となること、医療費の負担が予想を上回ることなど、難病対策の根幹にかかわる極めて重要な課題が明らかになり、施行後5年以内とされている法の見直しを待たずに可能な限り至急の解決が必要となっています。

また遺伝子治療や再生医療は、患者とその家族に、将来への希望と生きる喜びを与えるものとなっていますが、まだその技術は完全とはいえず、新たな生命倫理問題や子孫にわたる影響と危険な副作用の可能性も示しています。科学技術の進歩が新しい困難を生み出し、将来に禍根を残すことがないよう、なお慎重な取り扱いと抑制も必要と考えます。この集会の成功が、多くの課題や問題を早期に解決するきっかけとなることを心から願います。

患者・家族の声

8人の当事者発表から要旨をご紹介します

「心臓病児者 現状と課題」

一般社団法人 全国心臓病の子どもを守る会 青木 美千代 さん

どこでも誰もが安心して医療を受けられるように、また心臓病があっても希望した教育が受けられ、安心して継続的に働くことができるように、心臓病児者が生涯を通して切れ目ない支援が受けられる社会になることを願う。

「新しく指定難病になったマルファン症候群患者本人と支援団体の立場より」

NPO法人 日本マルファン協会 猪井 佳子 さん

障害者手帳の取得や、重症度にかかわらず、疾患の実態把握や研究促進のためには患者登録が必要なことを行政や医療者に周知したい。マルファン症候群についての認識や、遺伝子疾患でも就労は可能であることを社会に広める力添えをお願いしたい。


「初期治療こそ重要 − 医療費助成は軽症者にも」

全国多発性硬化症友の会 若林 章 さん

確定診断時から直ちに医療費助成が受けられれば、適切な初期治療により、重症化せず、社会生活が継続できる。健常者も難病患者も、障がい者も希望をもち、手を携えて生活できる共生社会を実現するためにも、軽症者から医療費助成を奪わないよう希望する。

「理解されにくい痛み〜誰にでも起こること〜」

NPO法人 線維筋痛症友の会 橋本 裕子 さん

痛みや疲労の困難を抱えて生きるのはとても難しい。線維筋痛症患者の「痛みや疲労による生活上の困難」を、生活機能障害として認め、必要な制度整備を行ってほしい。難病法の医療費助成や、障害者総合支援法のサービス受給の対象にしてほしい。


「制度の谷間〜切れ目のない医療施策への拡充を求めて〜」

公益財団法人 がんの子どもを守る会 山下 公輔 さん

最低限、指定難病対象の晩期合併症が、がん治療が原因ということで制度を利用できない不合理を正してほしい。それによって、自立が可能になる小児がん経験者が増える。さらには、すべての小児がん患者が20歳を超えても切れ目なく等しく医療を受け、生活できるよう施策の拡充を求めたい。

「全国がん患者団体連合会の取り組み」

公益財団法人 がんの子どもを守る会 山下 公輔 さん

全国のがん患者団体が連携し、がん医療や対策をより良いものにしていこうと2015年に活動を始めた。政策提言活動などに取り組んでいる。「がん患者が尊厳を保持しつつ安心して暮らすことのできる社会の構築を目指す」というがん対策基本法を実効性のあるものとしたい。


「肝炎患者の思い」

日本肝臓病患者団体協議会 米澤 敦子 さん

C型肝炎は効果的な治療薬が開発され、治る病気となったが、すでに肝硬変や肝臓がんに進行したケースや、B型肝炎の患者はいまだ大きな困難に直面している。差別や偏見もあり、病気が患者に重くのしかかり、高年齢者でもウイルスを排除したいと切実に願っていることを理解してほしい。

「人工透析医療の現状と課題」

一般社団法人 全国腎臓病協議会 榊原 靖夫 さん

透析患者の多くは高齢化し自力通院が難しくなり、通院送迎の問題が大きな課題となっている。先人たちの貴重な活動成果を守りながら、透析患者やその家族、他の難病患者、障がい者団体とともに信頼のおける団体を目指していきたい。